得意分野は「目の前の課題」から生まれる
8年間の企業支援業務にひと区切り
長らくお世話になっていた、大阪府就業支援施設OSAKAしごとフィールド中小企業人材支援センターでの企業支援業務が大阪産業局に移管されることになりました。それに伴い、私が担当してきた中小企業の採用や定着に関する相談対応も、一旦の区切りを迎えることとなりました。

2018年8月から2026年7月までの8年間、支援を継続してきたことになります。この間にお会いして名刺交換をさせていただいた方は、683人に上ります。非常に多くの方々と直接対話し、現場の悩みに触れさせていただいた貴重な時間でした。
綺麗ごとでは通用しない採用の現場
実は、中小企業診断士の資格を取得した当初、私は自治体向けのソリューション営業などを経験していた背景から、経営戦略や公共営業に関わるコンサルティングを中心に活動したいと考えていました。
しかし、同センターとのご縁をきっかけに、主な支援テーマは採用をはじめとする人事課題へと変わっていきました。
会社員時代に組織責任者として目標管理や評価、部下育成に携わっていたため、もともと「人がやる気になり成長する仕組み」には深い興味がありました。ただ、診断士やMBAで学んだ理論は、どちらかといえば「経営戦略からブレイクダウンしてあるべき人材像を描く」という上流からの視点が中心でした。

実際の現場で中小企業の人事担当者とお話しすると、そうした理論通りの綺麗ごとだけでは立ち行かない現実に直面しました。いかに人を確保するか、早期離職に怯えながらどのような採用手法をとるべきかという、切実かつ重い経営課題と向き合っていらっしゃったのです。
また、求職者側とも接する中で「求職者から会社がどう見えているか」「企業側の伝えたいイメージが正しく伝わっているか」という視点の大切さにも気づかされました。これらの課題を正しく分析・診断するため、私は人事管理の基礎理論や心理学、組織行動論を改めて学び直し、今も書籍を読み返しながら実践に活かしています。
得意分野は意図せず塗り替えられる
この8年間の泥臭い現場支援を通じて、気づけば組織人事が私の最も得意とする分野になっていました。おかげさまで、現在いただくセミナーや研修の登壇依頼は、採用・定着・評価制度・給与体系・目標管理・リスキリングといったテーマが中心となっています。
活動を始める前に自分で「これが自分の得意分野だ」と思い描いていたイメージは、目の前の課題に全力で取り組む中で、あっさりと書き換えられていきました。

キャリアや強みというものは、頭の中で計画するものではなく、与えられた環境や目の前の問題に愚直に向き合い、それを振り返るプロセスの中で自然と形作られるものなのだと実感しています。
目の前の問題に向き合い知識を定着させる
今回の節目を経て感じたのは、目の前にある流れに身を任せ、出くわした課題に徹底的に取り組むことの重要性です。そしてもう一つ、毎月メルマガやブログで自分の学びや気づきを言語化し、発信し続けてきたことが、知識を確かなノウハウとして定着させる上で大きな役割を果たしてくれました。
経営者や人事担当者の皆様も、当初計画していた人材育成や組織作りの計画が、現場の予期せぬトラブルや環境の変化で思うように進まないことがあるかもしれません。

しかし、その目の前で起きている問題から逃げずに一つひとつ対処し、対話と振り返りを重ねていくことこそが、自社独自の強い組織文化や人材育成の基盤を作ることにつながります。
もし採用や定着、評価制度などの課題で立ち止まることがあれば、まずは現状起きている事実をそのまま書き出し、整理することから始めてみてください。試行錯誤のプロセスそのものが、自社を大きく成長させる糧となるはずです。
