シカゴ大学 社会学者 ジェームズ・コールマン(1988年)
ソーシャルキャピタルとは
- 金融資本、人的資本に続く第三の資本をソーシャルキャピタルと理解する
- ソーシャルキャピタルとは集団の間に存在する善意のこと
- ソーシャルキャピタル理論で扱うネットワークは高密度ネットワーク(ボンディング型ソーシャルキャピタルという)
閉じた高密度ネットワークの効能とは
- SWT理論、SH理論では、閉じた高密度ネットワークは参加者にメリットがないと説明していた。しかし、閉じて高密度であるから得られる効能もある
- 閉じた高密度のネットワークの効能=ボンディング型ソーシャルキャピタルである
- 「信頼」:お互いのプレーヤーが信頼関係を醸成しやすい
- 「ノーム(暗黙の行動規範)」:暗黙に「こうすべき」という了解が醸成される
- 「相互監視と制裁」:お互いのプレーヤーの行動をチェックしあう
ブリッジング型とボンディング型の比較
項目 | ブリッジング型 | ボンディング型 |
---|---|---|
つながりの強さ | 弱い(エンベデッドネスの程度が低い) | 強い(エンベデッドネスの程度が高い) |
ネットワークの構造 | 希薄・オープン | 高密度・クローズ |
メカニズム | ブリッジ・ブローカレッジ | 信用・ノーム(暗黙の行動規範)・相互監視と制裁 |
便益 | ・多様な情報、知が手にはいる ・ネットワーク上の情報の流れを制御できる | ・通常のビジネス取引ではできない取引が可能となる ・「安心」が手に入る |
課題 | ・ネットワーク全体で信用が醸成されにくい ・指摘情報、暗黙知などは交換されにくい | ・遠くに伸びにくい ・同じ情報だけが、ネットワーク内で回りやすい |
主な理論 | 弱いつながりの強さ理論 ストラクチャル・ホール理論 | ボンディングの型ソーシャルキャピタル理論 |
- 弱いつながりの強さ理論は、希薄なネットワークの便益を主張(=ブリッジング型のソーシャルキャピタル理論)
- ストラクチャル・ホール理論は、プレーヤー周辺のネットワーク構造がもたらす便益を主張(=ブリッジング型のソーシャルキャピタル理論)
- ボンディング型のソーシャルキャピタル理論は、高密度で閉じたネットワークであることがもたらす便益を主張
- 今、デジタルネットワークで成功している企業は、ブリッジング型の便益とボンディング型の便益の両方をバランスよく取り入れている(Uber、エアビーアンドビー)