顧客価値を考える

大阪府中小企業診断協会の「知的資産経営研究会」「経営デザイン研究会」に所属しています。さまざまな気づきをその研究会から得ています。6月の各例会で「顧客価値」について気づきを得ることができたので、そのことを少し述べたいと思います。

顧客価値は顧客が決めること

「顧客提供価値」とか「顧客価値提供」という言葉を使うことがありますが、顧客価値は「顧客一人ひとりが感じる主観的な認知」なので顧客が決めることです。よって、企業は、これを価値として感じてくれているのではないかと思い「想像しながら提案する」しかできないと思います。

購入した時点だけを見ても顧客価値は想像できない

よく言われる話であるが、顧客はその商品やサービスを購入するためにお金を支払ったのではなく、その商品やサービスを手に入れることによって、自分の用事を片付けることができると思い、支払うコストも妥当なものであると判断したから、お金を支払ったのです。

顧客の価値を理解しようと思ったら、時系列に顧客が何に問題意識を持ち、自らの片付けるべき用事をどのように認知したか。そして、その用事を片付けるために、他にどんな選択肢を検討し、最終的に決定したか。そして、商品やサービスを購入したあと、用事は全て片付いたのか、一部しか片付かなかったのか、を理解する必要があると思います。

価値提案が届けたい顧客に届いているか

その顧客価値の提案を、どのような場所、手段(チャネル)で届けるのかも重要です。

営業形態は、店舗(直接)か間接か?、元請か下請か?コミュニケーション方法は、面談、電話、メール、ホームページ(PC、スマホ)、テレビ、ラジオ、雑誌か?

顧客が問題を認識し、自らの用事を解決するための、さまざまな選択肢を検討するタイミングで「価値の提案」が正しく伝わっているかが大切です。また、商品やサービスの購入後に期待通りのアフターフォローがあり、用事が解決したかどうか?も確認ができる方が届いたか、届いていないかの最終確認ができます。

プロセスから顧客価値を考える

上記の3つの視点から考えると、顧客価値を考える場合、どんな顧客とどのように出会い、どんなやりとりが発生するのか?そして最終的にはその顧客にどんな風に喜んでほしいのか?を想像することが良さそうです。

自分のコンサルティングという仕事を想定したときの顧客価値を、自分なりに考えてみました。下記のような書式(図表1)に整理してみました。

図表1 顧客価値を考える(2020年6月20日作成 松本与士隆)

図表1のような顧客価値を想像してみましたが、ここで想定したペルソナは、どの程度私の周りに実在しているでしょうか?ここで掲げた「片付けるべき用事」を本当に持っているでしょうか?対価を支払うビジネスは存在しているのでしょうか?

このように次から次と確かめないといけないことが目の前に現れてきます。自分の周りで起こっていることを観察し、仮説を立てて、やってみることが大切であることが改めてわかります。

ビジネスモデルを点検する時も「顧客価値」を考える作業を中小企業の経営者様と一緒になって行います。ビジネスモデル点検は、その「顧客価値を提案する」ために、図表1の下段にある「仕組」や「そのための備え・準備」を組み立てていくか、そして、誰から、どこで儲けるのかを検討していく作業です。

提案する「顧客価値」を想像することが出発点であることに違いはありません。私のやるべきことは、中小企業の経営者様や関連する金融機関の担当者様との面談の中から「顧客価値」をスムーズに導き出すお手伝いをすることであると常々考えております。

最後までお読みいただきありがとうございました。コロナ禍がまだ収まらない不透明な時期が続いておりますが、お力添えができるように頑張りたいと思います。

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