エドガー・H・シャインに学ぶ支援の原則

今回のブログは、組織心理学者エドガー・H・シャイン氏の著書『人を助けるとはどういうことか』 を参考に、私自身が日々行っている中小企業支援について、改めて深く考える機会を得ましたので、その学びを共有したいと思います。

「あっ、またやってしまった」と反省


これまでの私は、自分の経験してきた分野の相談であれば、ついつい技術的、ノウハウ的な助言に偏ってしまうことがありました。しかし、そのような時、相談者(クライアント)の表情は晴れず、支援の中のやり取りに違和感が生れます。「あっ、またやってしまった」と反省することもしばしばです。

Hands of a businessman having a meeting

エドガー・H・シャイン「支援学」との出会い

このような経験を繰り返す中で、私は、相談者の方の言葉の奥にある感情や、言葉にならない思いに、もっと注意深く耳を傾ける必要があると痛感しました。そして、改めてエドガー・H・シャイン氏の「支援に関する7つの原則」を学ぶことで、自身の支援のあり方を深く考えさせられました。

支援の7原則と中小企業診断士の役割

シャイン氏は、効果的な支援関係を築くための7つの原則 を提唱しています。これらの原則は、中小企業診断士として活動する上で、非常に重要な示唆を与えてくれます。

1.支援の準備

支援者(私)と支援を受ける側(中小企業の経営者や従業員の皆様)が、支援に対して前向きな状態であることが不可欠です 。私の憶測や一方的な思い込みで支援を始めるのではなく、相手の状況やニーズを丁寧に把握することの重要性を改めて認識しました。

2.公平な関係

支援関係は対等であることが望ましいとシャイン氏は述べています 。中小企業の経営者の方々は、時に孤独を感じ、弱い立場に置かれていると感じることもあるかもしれません。私は常に相手の立場に配慮し、尊重する姿勢を大切にしなければならないと改めて感じました。

3.適切な役割

支援者は、状況に応じて「専門家型」「医師型」「プロセス・コンサルタント型」の3つの役割を使い分ける必要があります 。中小企業診断士である私は、経営に関する専門知識を提供するだけでなく、企業の状況を診断し、共に解決策を模索するパートナーとしての役割も担う必要があると改めて認識しました。

4.言動の影響

支援者の言動は、時に大きな影響を与えることがあります 。不用意な励ましや安易な修正は、相手を混乱させたり、不快な思いをさせてしまう可能性もあります。私は常に自身の言動に注意深くあり、誠実なコミュニケーションを心がける必要があると強く感じました。

5.純粋な問いかけ

支援は、相手への「問いかけ」から始まります 。先入観や憶測に基づく質問ではなく、相手の言葉に耳を傾け、深く理解するための「純粋な問いかけ」が、より良い支援につながることを学びました。

6.クライアントの問題

支援者は、常に「これはクライアントの問題である」という意識を持つ必要があります 。問題解決の主体はあくまでクライアントであり、私はそのプロセスをサポートする役割に徹するべきです。

7.答えは一つではない

支援者は、全ての問題に対して答えを持っているわけではありません 。時に、支援者自身も迷い、悩むことがあります。そのような時は、率直に状況を伝え、クライアントと共に解決策を模索する姿勢が大切であることを学びました。

「寄り添う」ということ

今回の学びを通して、「相談者の気持ちに寄り添う」ということについて、具体的に何を心がけるべきか、改めて深く考えることができました。

これまでの私は、知識やノウハウを提供する事に注力するあまり、相談者の心情への配慮が不足していたかもしれません。 今後は、シャイン氏の原則を参考に、より丁寧なコミュニケーションを心がけ、相談者の方々が安心して話せる雰囲気づくりに努めたいと思います。

支援を受ける側の主体性

最後に、支援を受ける側である中小企業の皆様にも、お伝えしたいことがあります。もし、支援を受ける中で何か違和感が生れたり、「違うな」と思うことがあれば、遠慮なく支援者である私たちに伝えてください。
率直な意見交換こそが、より良い支援につながると私は信じています。

今後の支援に向けて

今回の学びを活かし、今後も中小企業の皆様にとって、より質の高い支援を提供できるよう、日々研鑽を積んで参ります。
何かお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。