2024年は何を学んだか -2025年に向けて-

2025年(令和7年)の最初に投稿するブログです。

2024年にどのような書籍を読んでいたかを振り返ってみました。

2024年に読んだ本

昨年、主に仕事関係で購入し、読んだ本は下表のようなものでした。

我ながら、改めて人事分野に関連した書籍ばかりで、特に昨年10月頃からは「アドラー心理学」について深く学ぼうとしていたことがよくわかります。

2024年支援内容の変遷

人事制度の基本構造(体系)

昨年は、人事評価制度の見直しに関する支援とともに、賃金テーブルの見直しや社員等級の再定義にまでさかのぼる内容が多かったように思います。

報酬制度や評価制度の見直しは、実は従業員の職能等級定義や役割定義、そして役職をどの等級に紐付けるかが決まっていないとできないことなのです。

この人事管理の基本構造(体系)を理解されている方が本当に少ないことがよくわかりました。よって、人事管理の基本構造をわかりやすく説明するための資料や解説に力を入れました。

採用と定着について

大阪府就業支援施設OSAKAしごとフィールドが無償提供している採用力診断ツールの受診結果を分析する機会に恵まれ、約3,000件のデータを計画、募集、選考、定着の4つの視点から統計分析しました。

分析の結果、採用に成功(採用数≧募集人数かつ離職率10%以下を成功と定義)している企業と成功していない企業の差は、定着の取組みの点数に有意な差があることがわかりました。(t-検定でのp値を参考にした)

そこで、従業員が定着するとは、どういう状態を言うのだろうか?と深く考えるようになりました。

それをきっかけに、キャリア形成に関わる理論や心理学を学ぶようになり、「働く人」をどのように捉えるべきなんだろうかとアドラーの個人心理学の書籍を読み漁りました。

そうした学びを経て私の中で最もしっくりきた言葉は、人は「成長意欲を持ち、組織の中で自分の居場所を常に確認している」そして、「社会や組織の中で「貢献と感謝」でつながっている感覚」が大切なんだという言葉でした。

では、どのような視点を持ち、人事施策の方向性を定めればよいかをコンテンツとしてまとめ、取組みやすさを基準にセミナーなどで紹介してきました。

これら定着の取り組みは、採用の取組みとして、特に求人票に書き込める内容となりますし、求職者に対して自社をアピールする内容としても十分活用できます。求人票見直しの支援についても自信を持って支援できるようになりました。

等級定義+コンピテンシーレベル

先に述べた等級定義が、どの企業においても疎かにされていることが明らかになり、なぜそのようなことが起こるのかを考えるようになりました。

クライアントから現状の話を聞く中でわかったことは、従業員の日頃の働きを見て、経営層の判断で昇格や昇進を行うことで特に問題意識は持っていないことです。よって明文化する必要もなかったようです。

しかし、従業員側から見ると、人事評価がブラックボックスとなっており、どのような従業員像を目指せばよいかわかりにくいところが多く、そのまま放置していると人事制度に対する不信感が募る傾向があるということも分かってきました。

そこで等級定義を「役割イメージ」「基本行動」「職能」「スキル」などの視点でわかりやすく整理する方法を支援するようになり、その等級の区切りにコンピテンシーレベル(坂本健氏の提唱する能力のレベル判定)を参考にし、クライアントもそれなりに納得感のある定義書を明文化できるノウハウを蓄積することができました。

次なる支援の課題

コンピテンシーレベルを参考にした等級定義が明文化できた段階で、次なる課題が明らかになってきました。

それは、従業員にどのような理由づけをして公開するか?管理職のみにまずは共有した方がよいか?などの課題です。

経営層が等級定義の公開に対して躊躇する理由があります。

  • 今の管理職が等級定義に合致した人物かどうか?一般社員(部下)からどのように見えるか?
  • 等級のステップを上がるために、上司は人材育成のスキルを持っているか?会社は研修などのカリキュラムを準備できているか?

次はこれらの課題を解決するための支援を行っていく必要があります。

2025年に私が取り組む方向

等級定義を全従業員に公開することをスタートとして、人材育成の施策を確実に実行していくという、人材ビジョンと人材戦略を提示することで、クライアント企業をもう一歩前に進めることができればと考えています。

私なりの管理者研修カリキュラムを作成する

まずは、部長、課長向けの研修カリキュラムを検討します。

内容としては

  • 人事制度の基本構造
  • 等級定義の意義(役割・職能・スキル)
  • コンピテンシーという考え方、活用の仕方
  • コンピテンシーレベル
  • コンピテンシーレベルを活用した人材育成アプローチ
  • ケーススタディとグループワーク

このような内容でまずは、管理者研修の内容を考えてみるつもりです。

成人発達理論の理解

心理学分野で「成人発達理論」があります。この理論は、等級が上がり経営層に近づくほど、身につけるべき人間力として理解することもできます。

この理論を活用した人材育成研修コンテンツは、メジャーではないようですが、コンピテンシーレベルと合わせて使うことができないか?親和性がないか?を検討していきたいと考えています。

個別のクライアントでの支援の中で紹介できる機会があると思います。

今年もどうぞよろしくお願いします

2025年も人事分野が主要なコンサルティングテーマとなりそうです。

特に人材育成にもっと知見を蓄積し、従業員の皆さまがいきいきと活躍できる職場づくりと人材採用・定着に結び付く施策を提案し、一緒に実装していく中で貢献していくつもりです。

今年も引き続きよろしくお願いします。