採用できている企業と採用できていない企業の差 選考編(3)

2024年3月8日のオフィシャルブログ「採用できている企業と採用できていない企業の差(1)」2024年4月8日のオフィシャルブログ「採用できている企業と採用できていない企業の差(2)」の続きを投稿します。

このブログだけを読んでも、流れがわかりませんのでお手数ですが、下記のリンクから前々回、前回ブログをお読みいただければ幸いです。

2024年3月8日のオフィシャルブログ「採用できている企業と採用できていない企業の差(1)」

2024年4月8日のオフィシャルブログ「採用できている企業と採用できていない企業の差(2)」

前回、前々回のオフィシャルブログでは

  • 採用力診断ツールとは何か
  • 採用力診断ツールのコンセプト
  • 診断項目の詳細
  • 統計的分析、t-検定を行い計画フェーズでは「協力体制」、募集フェーズでは「自社の魅力把握」に有意な差があることがわかった。

について解説しています。

統計的分析の方法 t-検定:2つの標本(平均値)に有意差が認められるかの分析

採用力診断の20設問ごとに、採用成功企業の平均値と採用不成功企業の平均値との間に有意な差が認められるかを確認するのが適当と考え、t-検定(分散が等しくないと仮定した2標本による検定)による統計的分析を行いました。

t-検定は、Excelで簡単に分析することができます。

t-検定とは、簡単に説明すると、2つの標本、ここでは採用成功企業405社と採用不成功企業1175社の2つのグループの平均値の差に有意な差があるかどうか判定し、一定の結論を出そうとする分析手法です。

「有意な差」とは、確率論的に、たまたま出た差ではなく、「意味のある差」である可能性が高いということです。個々の分析では、その「たまたま出た差」が出る確率が5%以下であれば「有意な差」があると判定しています。

t-検定についてご存じでない方もいらっしゃると思いますが、YouTubeで解説動画がたくさんアップされていますので、自習していただければと思います。私は、田中嘉博さんの「【実践編①】t検定:難しい数式と専門用語を使わない統計学シリーズ」を視聴し勉強させていただきました。

「選考」t-検定の結果 平均値に有意な差があったのは「選考プロセスの実行」「面接スキル(惹きつけ)」「面接スキル(見極め)」「内定者フォロー」の4つもあった!

「選考」の5つ質問の詳細は、冒頭で述べた3月8日のオフィシャルブログでご確認頂きたいのですが、質問項目は「選考プロセスの実行」「選考基準」「面接スキル(惹きつけ)」「面接スキル(見極め)」「内定者フォロー」の5つです。

採用に関わる「選考」のフェーズにおいて、私は重要な取組み項目であると考えていた「選考プロセスの実行」「選考基準」「面接スキル(惹きつけ)」「面接スキル(見極め)」「内定者フォロー」の中で、採用できている企業と採用できていない企業の差として、「意味のある差」は、なんと「選考プロセスの実行」「面接スキル(惹きつけ)」「面接スキル(見極め)」「内定者フォロー」の4項目もあるという検定結果がでました。

「選考プロセスの実行」「面接スキル(惹きつけ)」「面接スキル(見極め)」「内定者フォロー」の採用成功企業405社と採用不成功企業1175社の2つのグループの平均値の差において、「たまたま出た差」が出る確率が0.09%で検定基準としている5%よりも圧倒的に小さいことがわかりました。明らかに、この差は意味のある差であるということです。

ちなみに他の質問項目ではどうかと言いますと「選考基準」6.9%であり、「たまたま出た差」が出る確率が5%よりも僅かながら高いという結果がでました。

採用活動の「選考プロセスの実行」「面接スキル(惹きつけ)」「面接スキル(見極め)」「内定者フォロー」にどれだけ努力しているか振り返ってみてください

「 選考プロセスの実行 」について、 求める人材ごとに適切な選考プロセスを検討し実施している。
(例:先輩社員との交流、面接の実施回数、グループディスカッション、適性検査の実施など)
(最も当てはまるものを、単一回答)

  1. 検討していない
  2. 検討しているが、求める人材ごとの使い分けはできていない
  3. 検討結果に基づき、求める人材ごとに適切な選考を実施している
  4. 適切な選考を実施し、振り返り、次回の検討材料にしている

「 面接スキル(惹きつけ) 」について、 面接において、応募者を選考するだけでなく、応募者にここで働きたいと思わせるよう、職場で活躍するイメージが湧くような情報を伝えるなどの工夫を行っている。
(最も当てはまるものを、単一回答)

  1. 行っていない
  2. 意識しているが、うまくできていない
  3. 行っている
  4. 行っており、応募者の良い反応を得ている

「 面接スキル(見極め) 」について、 応募者が自社にマッチして活躍できる人材かどうかを見極めるため、選考の基準となる情報を引き出すための質問を複数準備し、面接で使っている。
(最も当てはまるものを、単一回答)

  1. 準備していない
  2. イメ―ジはあるが、具体的な質問は準備していない
  3. 質問を準備している
  4. 準備した質問を使い、必要な情報を引き出せている

「 内定者フォロー 」について、 内定者の不安を取り除き、モチベーションを維持するため、入社前後のスケジュール・職務内容を伝えたり、定期的に面談を行いフォローしている。
(最も当てはまるものを、単一回答)

  1. 取り組んでいない
  2. 一部取り組んでいる
  3. 取り組んでいる
  4. 取組みにより、内定辞退者の減少などの効果があがっている

採用活動で期待する成果が得られていない会社の経営層及び人事責任者の皆さまは、上記質問をもう一度振り返っていただきたいと思います。自社に興味を示してくれた求職者に対して、当社にふさわしい人材かを見極め、ふさわしい人材が見つかったときは、どのように入社を決めてくれるよう働きかけるかの重要なプロセスです。営業で言えば、人間関係づくり、プレゼンテーション、契約条件交渉、クロージングにあたるでしょう。

上記4つの質問を振り返り、人事担当者だけでなく、経営層から職場まで全社を巻き込んだ準備が必要となることが予想できると思います。しっかりと準備すべき項目や課題を明確にし、期限を決めて取り組んでほしい内容です。

自社では、何から始めてよいかわからなければOSAKAしごとフィールド中小企業人材支援センターにお問い合わせください。大阪府の支援策として、企業様のペースに合わせてお手伝いします。

次回は「定着」フェーズにおける、t-検定の結果について投稿します。