従業員が定着する理由
最近、従業員の定着についてアドバイスを求められたり、話す機会が多いので、整理してまとめてみたいと思います。
定着を考える2つの視点
従業員が会社に定着する理由を2つに整理することはできないか思っています。
仕事が面白いか?
皆さんも経験があると思うのですが、仕事には「面白くない仕事」があります。
- 自分の持っているスキルのごくごく一部しか活用しない仕事
- 職務全体から見ると、ごく部分的な仕事でしかなく、全体にかかわれない仕事
- 顧客や仕入先、次の工程を担当する方々の役に立っていない仕事
- 自分の裁量で進められず、都度指示を待たないといけない仕事
- 出来栄えや成果のフィードバックがない仕事
この5つの真逆の仕事(業務プロセスや組織)を設計すれば「面白い仕事」になります。
良い仲間がいるか?
しかし、「面白い仕事」を準備すれば、それだけで定着するかというと、そうとも言えないと思います。
新しい従業員は、その会社、組織の中で、価値観、社風、組織文化、行動様式に慣れていかなければ人間関係が築けず、たいへん居心地の悪い場所になります。
表現の仕方を変えると、その会社、組織の行動や考え方に慣れてもらい、受け入れてもらう必要があります。
- 入社時、組織の一員として受け入れられる
- 組織の価値観、行動様式を受け入れる
- 仕事の熟練度が上がり、周りに認められる
- 職場の人間関係が深まる
- 目標・成果を共有し、お互いを認め合う
この順序で仲間意識や一体感を醸成していかないと、良い仲間はできないと思います。
中小企業は定着しやすいはず!
先に述べた2つの視点は、中小企業であれば取り組みやすいはずです。
中小企業は組織も比較的小さく、機能別組織が多いと思います。しかし、組織と組織の隙間がたくさんあり、職務領域は広くなる傾向になると思います。
また、経営層と顧客との距離が短いため、従業員同士や従業員と経営層の距離が近いのも特徴です。
よって、経営方針・業務プロセス・成果(売上・生産・利益・顧客からの評価)が太く、短く結びつくため目標や成果の共有、組織としての一体感は醸成されやすいと推測できます。
それでも従業員が定着しないのはなぜか?
中小企業であっても、年中求人を出し、採用活動をしているところがあります。
貴社が採用しても定着せず、直ぐ離職してしまう会社や職場であれば、経営層は大いに反省すべきです。
理由は大きく2つ
- 自社の理念や考え方、仕事観と合わない求職者を採用しているから
- 「面白い仕事」の設計、「良い仲間」づくりの2つの取組みが不十分だから
と断言できます。
定着が課題だと思ったら、まず取り組めること
入社年数の若い従業員の育成プロセスを徹底的に見直す
以下のことを再点検してください
- 育成計画を立て、実行、本人へのフィードバックが行えているか?
- 育成計画そのものが、経営戦略や経営計画、事業計画に沿ったものになっているか?
- 本人が希望しているキャリアの道筋をヒアリングしたか?
採用プロセスを「定着」重視で徹底的に見直す
以下のことを考えて採用プロセスを再点検してください
- 創業者、経営層の考え方、仕事観に合わない人を応募させてはいけない
- 創業者、経営層の考え方、組織文化に合わない人を見極め、採用してはいけない
- 求職者が働きやすい就業条件、働き方、福利厚生を整える(業界水準以上をめざす)
- 求職者がその職場で働くシーン、活躍できるシーンを具体的にイメージできるような機会を提供する
参考:採用力診断ツール(OSAKAしごとフィールド)の活用
大阪府総合就業支援施設 OSAKAしごとフィールド 中小企業人材支援センターが開発した「採用・定着のミカタ」には3つのツール
- 採用力診断ツール
- 選考支援ツール
- 定着支援ツール
が提供されています。
採用や定着にかかわる気づきが得られる可能性が高いので、ぜひご参考にしてください。
私も「採用力診断ツール」の開発において協力させていただきました。