中小企業向け補助金事業について思うこと

今月で開業し、丸2年となります。
2年前は、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るうとは夢にも思っていませんでした。
影響を受けた中小企業及び小規模事業者の業況に対して国の施策である補助金や助成金に関連した問合せや相談が大変多くなってきました。

ビジネス化した補助金事業

今年度実施されている中小企業及び小規模事業者向けの代表的な補助金は下記の通りです。

問合せ経路は、地元の信用金庫による無料Web相談、ホームページ、北大阪商工会議所の相談業務等です。事業者様の補助金検討の入り口は「〇〇にお金が必要!使える補助金はないか?」です。
事業者の入り口としては、これはこれで良いと思います。

しかし、国が準備している各種補助金の募集要項を読むと、「付加価値額年率平均3%アップ」「総人件費年率平均1.5%アップ」「生産性向上」「低感染リスク型ビジネスへの取組み」「事業再構築」などと難しい言葉がずらりと並びます。つまり「補助事業の目的・ねらい」です。

そして、この「目的・ねらい」に沿った「自社の事業計画書」の作成を求められます。この事業計画書の作成が、中小企業や小規模事業者にとっては難易度が高いと思われます。

事業再構築補助金は15ページ、ものづくり補助金は10ページ、小規模事業者持続化補助金は5ページのボリュームを求められています。

どの事業計画書にも最低限、共通して必要なことがあります。「〇〇にお金が必要!」の「〇〇への取組み」が「補助事業の目的・ねらい」に結び付く「道筋」です。そして、その「道筋」を「言語化」しなければなりません。

この『「道筋」を「言語化」する』ことが、不得意な人と得意な人との間で需給関係が生まれ、「補助金ビジネス」に成長してしまいました。YouTubeの補助金解説動画の数や、Googleでのリスティング広告を見ているとよくわかります。

補助金事業に大切なこと

支援者として、補助金申請に必要な「事業計画書」作成の支援にどのようなスタンスで取り組むかは、とても重要なテーマであると思います。中小事業者と支援者が『 「〇〇への取組み」が「補助事業の目的・ねらい」に結び付く「道筋」』について、しっかりとディスカッションを行い、それぞれの立場から歩み寄り、お互い新たな気づきを得ることが最も必要であると思います。

中小事業者には、最初の動機であった「〇〇にお金が必要!」が、支援者とのディスカッションの中で視座が高まり、事業成長まで見通せるようになることが求められます。

支援者には、補助金申請のテクニック論に偏らず、中小事業者が大切にしているものを守りつつ、新たな挑戦のストーリーが見通せるようになることが求められます。

補助金事業への取組みを通じて、中小事業者と支援者の両方が新たな気づきを得ることができると思います。

支援者の問題

しかし、支援者が注意しなければならないことは、支援実績や支援フィーが目的化してしまい、中小事業者との会話やディスカッションに十分な時間がかけられなくなってしまうことではないか?