ビジネスモデルの再点検とは(3)

前々回のブログより私のコンサルティング方針である「ビジネスモデルの再点検」について掘り下げています。

前々回は
・ビジネスモデルの定義(コンセンサスの得られるキーワード)
・再点検のための3つの視点
・いつ点検するか?
について述べました。

再点検のための3つの視点として
「顧客価値」
「業務プロセス」
「外部環境と経営リソース」
を提案し、前回のブログでは2つ目の「業務プロセス」の点検について、掘り下げました。

本ブログでは3つ目の「外部環境と経営リソース」について掘り下げようと思います。

既存事業を取り巻く環境と経営リソースの点検については、ブログ SCP理論とRBV(資源ベース理論)で詳しく説明しました。ここでの論点は経済学をベースにし自社の立場をいかに独占に寄せるかということです。これはこれで大切な分析フレームワークなのですが、あくまでも自社の既存事業について、競合他社との相対的比較をしているにすぎません。しかし、このような考え方や分析は、はたして今のコロナ禍の社会経済環境の中で模索する中小企業の問題意識に応えるものであるのか、と疑問を持つようになりました。

実はこのような疑問を持つきっかけは、1月に出会った人、書籍等から得た気づきや影響が多分にあります。
具体的には…
・2050年脱炭素社会を創るために、水素エネルギー業界のために立ち上がろうとしている経営者
・中小企業×SDGsにより経営革新ができると信じポジティブに活動する中小企業診断士


・書籍:FACT FULNESS(ハンス・ロスリング他 著)
・書籍:2030年の世界地図(落合陽一 著)
・書籍:2040年の未来予測(成毛眞 著)
・書籍:ニュータイプの時代(山口周 著)
・書籍:ビジネスの未来(山口周 著)
・書籍:構想力の方法論(野中郁次郎・紺野登 著)

私が最近考えるようになったことは

  • 外部環境の認識は主観的であり、その人のもつバックグラウンドにより、見えているもの(認知)はそれぞれ違う
  • 見えているもの(認知したもの)に対して、どのような意味付けをするのかが重要である
  • その意味付け(解釈)の度合いによってその人の行動の方向性と強さが決まってくる
  • その人の意味付け(解釈)に他の人が共感し共鳴したとき組織が動き出す
  • その人の意味付け(解釈)とは「事業の目的」ではないか?

つまり、「外部環境と経営リソース」の再点検の本質とは「事業の目的」の再点検ではないかと考えています。
2030年に向けての外部環境を俯瞰した時、SDGsに挙げられているような社会課題に結び付くことを目的化できた場合、「顧客価値」「業務プロセス」「経営リソース」は改めて再点検され、新規事業のビジネスモデルを構想するきっかけになると思います。

我々中小企業経営の支援者は、「外部環境の再点検」により「事業の目的の再点検」することの重要性を認識し、中小企業経営者とディスカッションする機会を意識的に作ることが求められると考えています。