人と人のつながりの理論
「突然、○○さんから連絡があって、今回のお仕事につながった」というような経験は、皆さまにもあると思います。普段からお付き合いがあるわけではない方から、突然メールやメッセージが届き、連絡をいただいた経緯を聞いてみると不思議なつながりに気づくことがあります。
私も2019年5月から個人として仕事をはじめてから、「人と人のつながりが不思議な効果を生み出す」ことを徐々に実感するようになりました。会社に勤め営業職であった時の「人と人のつながり」とは種類の違うものであると思います。

社会学を基礎にした経営理論に、社会的な人や組織のネットワークを説明するものがいくつかあります。私がこのことを知ったのは「世界標準の経営理論(ダイヤモンド社 入山章栄著 2019年12月)」を読んだからです。この著書を引用しながら,、私が実感している理論を簡単にご紹介したいと思います。
社会学分野の経営学とは
人と人の間(あるいは組織と組織)の「社会的な関係性」に重きを置き、「人は社会的関係性に影響を受け、必ずしも合理的な意思決定を行うとは限らない」という視点の理論です。また、SNSの台頭もあり世界中でつながりが加速しています。社会学分野の経営理論を理解した上で、SNSを活用したビジネスを概観することでさらに理解が深まることも期待できます。スタンフォード大学 社会学者 マーク・グラノヴェッター (1973年)が提唱した「弱いつながりの強さ理論」に私は興味をひかれました。
弱いつながりの強さとは
簡単に説明すると、弱いつながりで形成される人的なネットワークは、広域でであることと、異質なものを含んでいるネットワークといわれ、アイデアを創出するような場面で強みを発揮する。ここでのキーワードは「広域」「異質」です。
弱いつながりとは
A・B・Cと3人の人ががいると、最少のネットワークを作ることができます。
A・B・Cが全員つながった三角形のネットワークは「強いつながり」、A・B・Cの誰かがつながらず、三角形の一辺が無いネットワークを「弱いつながり」と言います。
A-B、B-Cがそれぞれが大変強いつながりであれば、AとCはいずれつながるので、必ず三角形のつながりになりますが、もしA-Bのつながりが弱いものであれば、AとCはつながらないという理屈です。

ただ、この弱いネットワークはどんどん横にっていきますが、逆に強いネットワークであれば、広がらず構成員がそれぞれつながっていきますので高密度の狭いネットワークとなります。
いつも同じメンバーで同じような話しばかりして、創造的な意見が出ないのは「強いつながり」のデメリットが出ていることになります。しかし、信頼の醸成であったり、暗黙知が伝わるなどのメリットもたくさんあります。
弱いつながりの良いところ
弱いつながりのネットワークをもう少し詳しく考えてみます。
三角形の一辺が閉じていないネットワークがいくつもつながっている形を創造してみてください。縦横に拡がるネットワークとなります。また、いくつもの接点を持つ人と少しの接点しか持たない人も現れます。
このように見ていくと弱いつながりの接点をたくさん持つ人は、広域から自分にとって異質な情報を取り入れることができます。つまり多様性を取り込む機会が多いので新しいアイデアを思いつく環境にいることになります。企業や組織に置き換えると、イノベーションを起す確率を高める組織の環境となります。
弱いつながりで心掛けること
ここからは、この「弱いつながりの強さ理論」学んだ上で、弱いつながりを作る中で心掛けるべきではないかと私が考えていることを述べたいと思います。
●勇気を出して新しい場へ参加すること
私ぐらいの年齢になりますと、固定観念や古い価値観にがんじがらめになっていると思います。絶対ムリと思う場にイヤイヤ参加する必要はないと思いますが、自分の興味のある分野で、参加するには少し勇気が必要な場には思い切って参加してみようと思います。
●自分PRやプロフィールをいつもメンテナンスしておく
弱いつながりといっても、存在を忘れられてしまうと意味がありません。新しい場で自己紹介や自分の意見を述べる機会があった時は、短い時間で相手の記憶に留まるように話すことが大切であると思います。後で名刺、SNS、ホームページやブログなど見てもらえる可能性もあるのでイメージの統一感が大切だと思います。
そのためにも「自分は何者か?」「外から見ると自分はどう見えるのか?」を時々振り返り、内省することが大切だと思います。
●次のことを考えて接点を持つ
図1 弱いつながりのネットワークを見るとA・B・Cの3人であれば、Bが最も多様な情報が集まることでしょう。BはAとC以外にも、他のネットワーとつながっている人と接点を持っています。そのことで遠くの情報とつながる可能性が高まります。そのためにも勇気をもって、次に起こることをイメージしながら、さまざまな接点を持つことを心掛けたいと思います。
ご参考に
代表的な社会学分野の経営理論をまとめておりますので、コチラをご参考にしてください。
また、もっと詳しく学びたい方は「世界標準の経営理論(ダイヤモンド社 入山章栄著 2019年12月)」を熟読いただければと思います。
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