DX(デジタル・トランスフォーメーション)と中小企業のビジネスモデル
DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは
昨今、ビジネスモデルの基盤に、クラウド・IoT、ビッグデータ解析、AI、5G等のデジタル技術(以下 デジタル技術という)を活用し、多くの顧客にそれぞれの価値を届けている企業が勝ち組となり、ネットワーク効果でその優位性がさらに強いものとなり、圧倒的な市場ポジションとブランドを勝ち取っている企業があります。ニュースサイトを見ても日本企業は周回遅れで、勝ち組企業は、莫大な営業キャッシュフローを使い、さらにデジタル技術への投資、M&Aによりその差を広げていくと書いているように感じます。
経済産業省も2018年12月にデジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)を公開し、その必要性を訴えています。その理由はこのように述べられています。
あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起ころうとしています。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められています。
そもそもDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは何でしょうか?調べて見ると今から16年前に
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。デジタルシフトも同様の意味である。2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる『ウィキペディア(Wikipedia)』とあります。
つまり、IT技術が社会生活に浸透し、変化をもたらすことです。これは内閣府が目指すべき社会の姿として提唱しているSociety 5.0のことであると思います。
中小企業にとって
みなさんは、この国の理念や方向性を見てどのように感じるでしょうか?
言ってることはわかる。たぶん、そんな世の中になっていくでしょう!中小企業から見ると課題が大きすぎるし、大上段に構えすぎ!そうかといって、今までのやり方に固執していて良いとは考えていない。
では、何をすべきかと考えたとき、私は自社の「ビジネスモデルを再点検」することであると考えています。
DXを視野に入れた「ビジネスモデルの再点検」とは
コロナ禍でビジネス環境が変わることも想定し、DXも視野に入れて、下記のような「ビジネスモデルの再点検」を行うことを提案します。お金をかけず、経営層の少人数の頭脳と手を使うことで直ぐに取組むことが可能です。
①今のビジネスモデルを整理する
- ローカルベンチマークツール(経済産業省)(紹介動画などもあります)
- ビジネスモデルキャンバス(お馴染みのフレームワークでたくさんの書籍が出ています)
- 9セル(兵庫県立大学経営学部 川上昌直教授が提唱するフレームワーク)
上記のツールは貴社の現状のリソースのつながりや、顧客価値が生まれる仕組みを整理することができます。整理する中で様々な気づきが得られ、ビジネスモデルの改良に思考が発展する可能性があります。
②新たなビジネスモデルを妄想してみる
新たな顧客価値に思考を飛ばすツール
- 経営デザインシート(内閣府)
活用の仕方や紹介動画があるので参考にしてください。このツールを使うコツは、考え過ぎないことです。すぐに実現できそうな顧客価値を設定するのではなく、10年くらいかけて実現する顧客価値を設定し、バックキャストでビジネスモデルをイメージすることを求められます。この時、DX(デジタル・トランスフォーメーション)していないと顧客価値が実現していないことが多いです。
ひとつに時間をかけず、何回もやり直します。①と②を言ったり来たりしながら自社の「ビジネスモデルの再点検」をぜひ取組んでみてください。
一旦やり始めると、大変難しいことに気が付きますが、6ヶ月に1回行うなど、実際に紙に書いて訓練することが近道です。