組織も知を記憶する!?

新型コロナウイルスの感染拡大防止の対策が取られることで、朝の通勤電車も人が少なく、大きなイベントは軒並み中止と なっております。宿泊施設や飲食店も厳しい業況に直面しており、生産活動もサプライチェーンが分断されることで資金繰りも途切れてしまいます。中小企業様は日ごろから付き合いのある金融機関や公共の相談窓口に早めに相談しておくことが肝要かと思います。

このようにみていくと、普段と違うことが起こり、同じ手順や手続きで仕事ができないことのもどかしさを感じます。

つまり、組織がいつも通りの機能や成果を発揮できないこと によるものです。

経営学では「ルーティン」と呼び「繰り返される行動パターン」のことを言います。

「ルーティン」はルーティンワークという言葉もあり、定型的で創造的でない仕事のように解釈されていますが、経営学では大変重要な概念とされています。

組織がルーティンを得ることに次のような意義があります。
①安定化
業務プロセスが平準化されればメンバーの目線が揃う
②記憶
暗黙知を埋め込むことができる
③進化
結果としてルーティンの充実した組織は、余裕が生まれ、新たな経験より新たな知識を受け入れられるようになり、ルーティンが進化する

いつもバタバタしている、同じようなミスがおこる、組織メンバーの仕事に対する目線がバラバラでまとまりがない。
このような職場があると思いますが「ルーティン」という概念を思考の軸とすることで改善の筋道が見えてくると思います。

このような職場に対する改善の視点として「業務のマニュアル化」を提案することがあります。しかし、マニュアルはありますが、だれもそのマニュアルを参照していないとか、マニュアルの存在をしらないなどの笑えない話が沢山あります。

「マニュアルをどのように作成し、職場に定着させながらブラッシュアップさせ、気が付けばマニュアルなど見なくても業務がスムーズに流れている」そのような職場をイメージすると、先に説明した「ルーティン」の3つの意義が含まれています。マニュアル化=業務の標準化=効率化=労働生産性向上と短絡的に結びつけるのではなく、「ルーティン」は認知心理学をベースにした組織の進化理論である、と理解した上で企業をみると、もっと高い視座からアドバイスができると考えています。