KPIでモチベーションは上がるか?

あるクライアントから人材育成という視点から人事評価制度を見直したいというテーマを頂戴しました。そこで今回は経営計画との関連性を考えながら私が最近気づいたことを述べたいと思います。

KPI(Key Performance Indicator)という表現を良く目にします。数値目標になっている事が多いと思います。KPIはプロセス目標であり重要成功要因を構成する目標です。KPIの元を辿っていくともう少し大きな目標に辿り着きます。これを繰り返すと経営計画そして経営理念に行き着くというのが理屈になります。


中小企業製造業で従業員100人程度と多く、機能別組織であれば、このような考え方で経営計画から部門毎の数値目標に展開しているのではないでしょうか。つまりKPIです。そしてこのKPIを指標として従業員の評価を行うのが人事評価制度です。


さて、ここで各部門で働く一般従業員の視点から部門のKPIだけを提示されると、どんな印象を受けるでしょうか?「???」と感じます。自分の仕事との関係性が「???」だからです。
一般的なやる気やモチベーションの視点からはどうでしょうか?「人に決められる数値目標はやる気が出ない!」「何のためやるの!」「自分なりに試行錯誤して、うまくいった時が楽しい!」「お客様に喜んでもらえた! 事案が良い方向に進んで関係者が嬉しそうだった!」

つまり、従業員のやる気やモチベーションは一人ひとりの主観(心や気持ち)に強く結び付いています。

そして会社において人が成長する時はやる気やモチベーションが高い時であるということに異論を唱える方も少ないと思います。(一時的に挫折を経験することも必要と思いますが・・・)


人事評価制度で経営層と一般従業員との様々なギャップを埋めることはできるでしょうか?人事評価制度は、大きく制度設計と運用に分類することができます。上に述べたことを考えると、制度設計と部門への展開だけではうまくいかず、部門管理者を巻き込みながら運用を十分に考慮しなければならないことがわかってきます。


なぜならば、運用面をさらに現場の風景としてイメージしていくと、上司と部下の面談や日常会話が思い浮かびます。つまり、一般従業員のやる気は直属の部門管理者との「間(ま)」に影響を受けるからです。「間(ま)」が狭すぎても、広すぎても、うまくいかないことがあります。狭すぎれば目標の下への押し付けととられ、やる気がでない。広すぎれば放置されているととられ、やる気が出ない。適度の「間(ま)」が広がっており、従業員に対し考える材料が与えられ、自分で決めることができる、そして、その決定事項が上司との会話でさらに深まったり、腹落ちすることが大切でないかと思います。


部門管理者は重要である


中小企業製造業において制度設計をする過程に部門管理者が関与し、一緒に作り上げ、その制度を運用に結び付けていく。このプロセスが重要である。


このプロセスも部門管理者の育成そして個人としての成長に結びつくと考えることができます。