見直してみませんか?求人媒体の使い方
OSAKAしごとフィールド中小企業人材支援センターの相談員として、「求人票を出しているが応募がない」「コストを掛けたくない」「求人票を見直したい」このような相談が依然として多いです。
このような相談に対して、一定の納得感のある回答が必要と考え、今回のブログに整理してみることにしました。
はじめに
私が相談を受ける企業は、従業員10人未満~100人程度の規模で業種も様々です。これらの企業の相談で最も多い悩みは、「求人を出しているが応募がない」「応募があっても、こちらが考えている応募者のイメージと合わない」というものになります。
一方、求職者の立場に視点を変えると、一部のスカウト型サービスを利用して転職先を見つける方を除けば、ほとんどの求職者(いろいろな事情で転職を希望される方)は、ハローワークに訪問し、職員に相談したり、検索端末で求人票を閲覧したり、転職サイトでさまざまな条件(雇用形態、勤務地、職種、賃金など)で求人を絞り込み、求人内容を眺めるも、自分に合った職場なのか不安な気持ちになっていると思います。
私が相談を受けているような企業は、広告代理店や人材サービス会社の提案に惑わされるのではなく、求職者の立場に立って「求人媒体」について冷静に見直すべきと思います。また、支援者の方もクライアントが多額なコストをかけても、採用ができていないのであれば一旦立ち止まり、振り返りを一緒にしてください。
求人媒体をどう捉えるか
私が言う「求人媒体」とは、ハローワークに掲載する求人票からインターネットを活用した民間の求人広告やマッチングサービス、仕事説明会や交流会などのイベント、大規模な合同企業説明会、そして有料人材紹介サービスなど非常に幅広く捉えています。
全体的に特徴を捉えるため、じっくり採用・急ぎ採用の時間軸と無償・高額のコスト軸でマトリックスをつくり、それぞれの求人媒体をプロットしてみます。(図表1参照)
まず、「じっくり×無償」のセグメントには、自社のホームページ、ハローワーク、公共機関が企画する交流会や職場体験会などのイベントが該当します。「少し急ぎ×無償」のセグメントには、民間が提供している採用サイト型サービス、検索型求人サービスがあります。これは、民間の人材会社が、機能を制限して無償で自社の採用サイトを構築できたり、求人情報を検索エンジンに無償で読み込ませたりできるものです。次に「もっと急ぎ×有償」のセグメントには、外部の方に見栄えよく制作してもらった求人広告が入ります。一定期間、検索結果の上位に表示されます。先に説明した無償の採用サイト型サービスも有償オプションを追加することで、検索結果の上位に表示され、求職者に直接オファーメールが送れます。有償の合同企業説明会もこのセグメントに入ってきます。合同企業説明会も民間が企画開催するものは出展費用が高額ですが、自治体などの公共機関が主催するものは安価で済むものがほとんどです(無償もあります)。最後に「急ぎ×高額」のセグメントは有料人材紹介サービスとなります。これは、採用が確定すると成功報酬としてその方の年収の35%程度(会社によって成功報酬額は異なる)を支払う必要があります。
では、次に主要な求人媒体について特徴と留意点を挙げます。

自社ホームページ
あなたの会社に興味をもった求職者が必ず訪れる場所です。だから疎かにしてはいけません。会社の歴史(沿革)は安心感を与えます。理念・ビジョン・業績は将来性を感じさせます。事業内容・仕事内容は求職者のキャリア形成の参考になります。職場写真には職場の雰囲気を伝える力があります。先輩インタビュー記事には求職者の自己効力感を高める役割があります。
ハローワーク
退職した方が、失業給付を受け取るために必ず訪れる場所です。また、求人票を出す企業側も、仕事を探す求職者側もインターネットで行うことができるようになったので利便性は大きく改善しました。ハローワーク求人票では、なかなか採用するのが難しいと言われますが、私はハローワーク求人票で採用ができた会社をたくさん見てきました。
書式、項目、文字制限があり、味気ない見た目なのですが、その制約の中で他社との違いを表現している求人票があります。そのような求人票は求職者の目に留まることはもちろんのこと、ハローワークの就職相談スタッフの目に留まります。また、求人情報として記載すべき情報のコンプライアンスチェックができますし、同地区、同業種の賃金水準、休日日数水準などを参考にできます。よって、この後に説明するさまざまな求人媒体の基本、押さえるべきポイントが明確になります。

インターネット求人媒体(採用サイト型/求人広告/検索エンジン型)
大きく分けて 採用サイト型、求人広告、検索エンジン型の3つに分けます。民間会社からさまざまなサービスが提供されています。
まず、採用サイト型ですが、自社の採用サイトを作成できるサービスです。ほとんどが無料でできます。文字情報だけでなく、写真や動画などが自由に掲載できます。
但し、テンプレートが決められていますので出来上がったものは同じような仕上がりにはなるのですが、インターネットの中では見つけてもらいやすくする代表的な方法です。
その理由は、これらのサービスを使って自社の求人サイトを公開すれば、自動的に検索エンジン型に読み込ませることをサービスの一つとしているからです。
2つめの求人広告は、期間限定のネット広告と理解するとわかりやすいです。よって、すべてが有料でオプションがたくさんあり金額の幅も大きいです。検索サイトの中で優先的に上位に表示され、検索者の目に留まるようにしてくれます。医療福祉系職種・建設業関連職種・ドライバー職種に特化しているものもあります。
3つ目の検索エンジン型は、先に説明した採用サイト型で掲載したときに自動的に読み込む以外に、有料オプションで検索結果を上位に表示することができます。
交流会/合同企業説明会
なんといっても、求職者と直接会話することができます。求職者は何に不安を持っているのかを、比較的自由な雰囲気の中で聴けることが最大のメリットです。求職者側もさまざまな目的を持って参加しており、応募先企業を探すだけでなく、業界や職種の視野を広げようとしています。企業の方は、積極的に参加し、最近の転職希望者がどのようなことを考えているのかを理解する機会としてください。さまざまな学びや気づきがあると思います。

どのように見直すか?
ここからは求人媒体を見直す際のポイントを説明します。(図表2参照)
労働市場には、いろいろな背景をもった方々がいます。その中で、「あなたの会社の求人票は誰に読んでもらいたいか?」ということです。「誰」が決まれば、「どこに居る」かが予測できます。予測できれば「どの媒体や手段」を使うべきかがわかってきます。そして最後に「どんなメッセージ」を「伝える」のかです。そして、求職者に「見つけてもらい」「調べてもらう」必要があり、このプロセスを経ない限り応募に結び付きません。まずは、自社ホームページを見直す。次にハローワーク求人票を徹底的にブラッシュアップする。その見直しのコンセプトに一貫性を持たせながら採用サイト型サービス(無償)に展開する。交流会、合同企業説明会のイベントを組み合わせる。このプロセスを求職者が行ったり来たりしているのを企業担当者が感じているかがとても重要です。企業はその動きを管理しておかなければなりません。その理由は「振り返りと改善の手」が打てないからです。プロセスの中でモニタリングできる指標を決め、振り返りと改善を繰り返すことで必ず応募に結び付きます。

お気軽にご相談ください
大阪府下の事業所で人材採用や定着にお困りの方は、大阪府総合就業支援施設OSAKAしごとフィールド 中小企業人材支援センターにお気軽にお問い合わせください。ご相談にはほとんどコストは発生しません。求人票の見直しなども相談員と一緒に行うことができます。(但し、2025年度のOSAKAしごとフィールドの体制はまだ未定であることをご了承ください)