『キャリア』って何ですか?と質問されて、うまく答えられますか?
先日、あるクライアントに対し、キャリア形成・学び直し支援センター(厚生労働省委託事業)によるセルフ・キャリアドックの導入支援についてご紹介しました。
その時、クライアントの社長から「『キャリア』って何ですか?」と質問されました。
私は、上手く答えられなかったのですが、意味合いとしては「仕事内容や経歴だけでなく、その人の自分らしさや、やりがいに関わることです。」とお答えしました。
答えた後、私は心の中で「確かに、『キャリア』は広い概念だな・・・」と思いました。
そこで、今回のブログでは『キャリア』について考えてみたいと思います。
学び直し・リスキリング・キャリア形成が話題になっている背景
生成AIさんの意見を取り入れながら、ポイントを押さえておきたいと思います。
デジタル化の発展:インターネットやスマートフォンの普及により、誰もが手軽にデジタル空間にアクセスできる環境が整ってきました。これにより、消費者の生活スタイルや商取引の形態が大きく変化しています。
労働人口の構造変化:少子高齢化や都市部への人口集中など、人口構造の変化が進行しています。これにより、労働力不足や市場の縮小、社会保障制度の維持など、様々な課題が生じています。
環境問題の深刻化:気候変動や資源の枯渇など、地球規模の環境問題が深刻化しています。これに対応するための「カーボンニュートラル」や「脱炭素」などの動きも広がっています。
経済のグローバル化:グローバル化の進展により、国際競争が激化しています。これに対応するためには、企業の生産性向上やイノベーションが求められています。
これらの変化は、個々の労働者だけでなく、企業や社会全体にも大きな影響を及ぼしており、それぞれが新たなスキルや知識を身につけ、変化に対応する能力を持つことが求められています。このため、「学び直し」、「リスキリング」、「キャリア形成」などの概念が重要視されています。
ポイントとしては、私たちを取り巻く環境変化のサイクルが早いので、今後も長く働く私たちは「学ぶ姿勢を忘れず」「頭も体も柔軟に対応させる」ことが大切であるということでしょうか。
『キャリア』とは
以下に、ダグラス・T・ホールによるキャリアの定義をご紹介します。
「キャリアとは、生涯にわたる期間において、仕事に関する諸経験や諸活動と結びついており、個人的に知覚された一連の態度や行動である」
ホールのキャリアの定義には次の前提があるとのことです。
– 組織階層の上方への移行することがキャリアであるという視点はとらない。
– キャリアにおける成功と失敗は本人によって評価される。
– キャリアには主観的側面と客観的側面があり、両方を考慮する必要がある。
– キャリアとはプロセス(経験の連続)である。
ここでのポイントは
- 自分が「良し」と思えば、それで「良し」
- プロセス(経験のつながり)で捉える
ではないかと思います。
他人の評価、例えば「高給取りだ!」とか「昇格して、課長さんになった!」とかは、関係なく、自分なりの主観・客観の評価基準とその評価に沿った経験を積んできたと、後ろを振り返ったとき「意味付け」できていれば良いのではないかと思います。
キャリア形成について考えるタイミングとは
学び直し・リスキリング・キャリア形成について、四六時中考えていると、息が詰まってしまいます。
また、四六時中考えたところで、大きな変化はすぐには起こらないでしょう。
皆さんも自然とそのように考えていると思うのですが「人生の節目」がそのタイミングです。
人によって節目は様々です。
- 就職活動の時期
- 結婚したとき、子どもを授かったとき、離婚したとき
- 異動や転勤を命じられた時期
- 転職を考え始めた時期、会社を離職するとき、会社が倒産したとき
- 役職定年を迎えた時、定年を迎える時、継続雇用を選択する時
- 個人事業主として再スタートを決意する時期
このタイミングで、必ず過去を振り返り、これまでの起こったことや経験に自分なりの意味付けを行い、その上で方向性を模索し始めます。
過去の体験・経験の「意味付け」に要注意!
内省とは、自分の過去の体験や経験を振り返り、自分なりの意味付けをすることと理解しているのですが、一人で考えていると、バイアスが掛かり、視野が狭くなり、気づきが浅いことが多いと思います。
私は、友人や知人などの第三者に自分の考えていることを説明して、異なる意見を出してもらうのが良いと思います。まさに、「キャリアカウンセリング」がそれにあたります。
さまざまな対話を経て、さらに深めたいスキルや領域、働き方の変革、そして、どのような人と今後出会っていきたいかなどが定まることによって、次の具体的な行動に結び付くことが何よりも大切と思います。
国の方針にもなっている
国の方針としては、厚生労働省では「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定し、労使の実践に資するよう「基本的な考え方」、「労使が取り組むべき事項」、「公的な支援策」の3部で構成し、公的な支援策の内容・利用方法や学び・学び直しに取り組む企業事例について紹介しています。さらに、経済産業省では、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を実施し、在職者が民間専門家に相談して、リスキリング・転職までを一気通貫で支援します。岸田首相も、官民が連携してリスキリングを広げる重要性を訴え、政府として個人のリスキリング支援に5年間で1兆円を投じる方針です。
キャリア形成・学び直し支援センター(厚生労働省委託事業)の取り組みはあまりよく知られていませんが、中小企業の皆さまも、一度参考にしてみてはいかがでしょうか?
また、厚生労働省の「従業員の人材育成、スキルアップ」に使える助成金も活用することができます。
中小企業の経営者の皆さまは、これらの情報を収集し、検討を始めると、自社の人材育成のビジョンや方針がないことに気づく方も多いと思いますが、決して遅くありません。公的な支援機関や専門家のアドバイスをもらいながら、ぜひ自社の人材育成ビジョンと方針を策定してください。
従業員の定着や今後の採用にも必ず結び付くと確信しています。