経営デザインシートについて思うこと

内閣府 知的財産戦略推進事務局 が平成30(2018)年5月に「経営デザインシート」を発表しました。そしてここ2~3カ月の間、大阪府中小企業診断協会の中での研究会やセミナーの中で「経営デザインシート」が取り上げられる機会が増えているように思います。

内閣府の説明資料(2019年8月)によると下の図のように紹介されています。

知財のビジネス価値評価検討タスクフォース 報告書 (平成 30 年5月 知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース )の中では上の経営デザインシート内の右側(C)の部分(これからの価値創造メカニズム)部分において、資源→ビジネスモデル→価値と矢印の向きが右向きであったものが、上図では資源←ビジネスモデル←価値と矢印の向きが左向きになっています。

説明資料でも「これから顧客に提供しようとする価値」を先に決め、それを実現するためのビジネスモデル及び必要となる(追加すべき)経営資源を検討すると記述されています。このあたりに、内閣府が国内企業に求めているものの意図を感じます。つまり、経営者の思考の変革を求めていると。

我々は今も、カイゼン思考や戦略思考の中でビジネスを模索しています。カイゼン思考は、生産性向上のためにPDCAサイクルを回す考え方。戦略思考は差別化を図り、競合に勝つために選択と集中を行う考え方。この考え方でも閉塞感から解放されない。大きく突き抜けることができないということでしょうか。

内閣府の言葉を借りれば「 これまでの価値を生み出す仕組みを把握し、ニーズやウォンツに訴求できるこれからの 価値を生み出す仕組みを構想する、すなわち【経営をデザインする】ことが重要 」となります。

そしてこの「経営デザインシート」とは、将来を構想するための思考補助ツール (フレームワーク)であり、対話のためのツールであると言っています。

我々、中小企業診断士は中小企業経営者との良き対話相手とならないといけないと改めて思います。

これまでの伝統的な経営診断によるカイゼン思考、戦略思考によるアドバイスに加えて、経営幹部の考えるビジョンが、どのように顧客価値と結びつくかの案をいくつも出したり、定義していったり、プロトタイプを作ってみたりする、このようなプロセスやメソッドを学んでいく必要があります。これを経営のデザイン思考と呼んでいいのでは思います。